【自己受容と私】肝心なところで一歩引く私

私、ここでいいかも・・・

大きなチャンスはいつもあるものではない。
だからこそ、そのチャンスを大切に。

わかってるんだけど、そんなことはわかってるんだけど

チャンスを前にして必ず一歩引いていた。

今でもはっきりと覚えているのは、そのときずっと心の中で回り続けていた私の声。

ああわたし、ここでいいかも・・・ここで十分。これ以上は怖い・・・

自分たちで主催する舞台公演には無かった心の声が、
オーディションでは必ずと言っていいほど私の中から沸き上がってくる。

それはある仮面劇。コメディアデラルテというイタリアの古典劇。
演技ワークショップから参加、出演者がそこからオーディションで選ばれるという形式。

楽しかった!
仮面をかぶってのお芝居は表情で感情を見せることはできないので、
しぐさや動きで登場人物の感情を表現したりと、本当に学ぶことが多かった。
傾ける首の角度で内面が違って見えるって、
それまではあまり意識してなかったし。

ここで私はチャンスに恵まれた。舞台出演のオーディションだ。
実際にお客さまの前で演じてみたいって思ったから、 選ばれた時にはうれしかった。

オーディションの日がやってきた。

あらかじめ台本を覚える必要はなく、身体一つだけ。
仮面をかぶりながら、私たち参加者は次々出されるお題を短いパントマイムで表現した。

最初は20人ほどいた参加者も、少しずついなくなっていく。
選抜されていくからだ。

そうしているうちに、女性7人ほどが残った。

(あと、一回で決まるかな。残るのはこの半分くらいの人数かな)
予感があった。この一回を乗り切ればいい。自分らしく、楽しく。

ところがそんな私の意思とは裏腹に、急に身体が固くなった。
今思い返すと、それは「怖れ」だ。
でも当時はそんなこととは少しも思わない。

あれっ??なんだか変・・・

得体のしれない感覚がどんどん強くなり、とうとう私の頭の中をこんな声が回り出した。

私、ここまでよくやってきたよ。がんばったよ。
ここで十分だよ。ここまで選んでくれてうれしいよ。

おいおい、何言ってんの!これからでしょ!って
今なら自分に言えるけど。
怖れていたのだ。もし受かっても自分に舞台がつとまるかを。
演出家にダメ出しくらい続けて、
あ~あ、って共演者に残念な顔をされて、
現状打破しようとしても上手くいかない怖れを。

大前提は「どうせ上手くいかない」 これじゃあ、挑戦できないね。

肝心なところで一歩引いた私。オーディションも落ちた。

あのとき、もう一歩踏み出していれば・・・
あのとき、自分の怖れに気づいていれば・・・

後悔することはいっぱい。
でも、そんな自分を知ることができたのも、この体験。

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