わたしのこと

どうやら父は、私に学校の先生になってほしかったみたい。

そのとき私は大学4年生。

本音を言えば、大学には全然興味がなかった。

というのも、既に「役者になりたい!」っていう気持ちが強くて、
今すぐにでも東京に出て、演技をしたかったから。

初めて「役者になりたい!」という夢を抱いたのは、高校3年生のころ。

でも、そんなこと親には言えない・・・言ったら激怒されるだろうし、
当然反対されるに決まってる。

だから大学は“役者になるための準備期間”だと考えた。

4年間で上京するための準備をできるだけ整えて、親に宣言したい!

そんな気持ちで過ごした大学生活。
そして何とか無事4年目を迎えたのだった。

「教職課程(教員免許に必要な単位)を必ず取りなさい!」とのほぼ命令に近い
要望をイヤイヤ受け入れて、最後の課程「教育実習」を行うかどうかの時期に来ていた。

正直な気持ち、全くやりたくなかった。だって、教員になるつもり全くなかったから。
そんな状態で「教育実習」の受け入れを母校にお願いするなんて、
とても失礼なこと。
本気で教員になりたいって考えている人にも失礼だしね。

「教育実習はやらない」

ある日の夕食時、私は両親にそう言った。

父は突然怒りだした。

「何で、やらないんだ!!」

既にこのころには私と父との間には、ほとんど会話が無く、父は母と私の会話を
横で聞いているだけだったけれど、この日は違った。

父は激怒していた。

「だって、教師になるつもりないから」私がそう言うと、父は突然椅子から立ち上がり、
私に殴りかかろうとした。

私は思わず席を立った。

「やめなさい!」母が間に入ったが、父の怒りは収まらなかった。

今にも殴りかかりそうになりながら父は、私にこう言った。

「実習をやらないと、許さん!!」

その権幕に圧倒され、私はその要求を受け入れた。

 

ずいぶん後になってわかったんだけど、父は自分が教師になりたかったんだよね。
でも、元来話下手だし、その時代の就職状況もあって、教員にはなれなかった。

だから、私にはなってほしかったんだよね。
私に父自身の夢をかなえてほしかったんだよね。

でも、それは父の夢であって、私の夢ではない。

押し付けられ感がすごかったね、私としては。

 

「教育実習は」自分の母校の高校に受け入れていただけた。

自分なりに授業の準備には頑張った。頑張ったけれど・・・

実習が始まる前に、担当してくれる先生に、「教師になる気はあるの?」と聞かれ、
正直な自分の気持ちを話したの。

最終日に、その先生にとても厳しいことを言われた。

「教師になるつもりがないんだったら、教育実習には来ないで欲しい!
私は教師になりたいっていう思いを全力でサポートしたいの。
なる気が無い人に時間を使うのはムダ!」

そうだよね。すみませんでした。

すごく落ち込みながら家路についたのを今でも覚えてる。
そして、父に対してますます”許さない!”って気持ちが増幅していった。

 

 

 

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