「感情は作るものじゃなくて、自然と生まれるもの」
これは心理学を取り入れた演技レッスンを始めて、
トレーナーS師匠からかけられた言葉。
それまでの私の役作りの仕方はト書きやセリフばかりに気を取られていました。
ト書きに(泣いて)とか(激怒して)とか書いてあれば、その状態を作り。
セリフを見て、(ここは嬉しいんだろうなあ)と想像できるところは、
その状態を作って。
まるでト書きやセリフごとに感情を張りぼてのようにくっつけた演技。
(思い返すだけでも、お恥ずかしい;)
じゃあ、その役の「感情」が自然と生まれるためには何をすればいいのか?
その役が、今どういう状況にいるのかを知ること。
その役が「手に入れたいもの・状態」(欲求)を知ること。
これらを探すことでした。
今、どんな状況に置かれているかでその役の欲求を想像することができ
その欲求が次の行動を生んで、その行動に対する相手の反応や出来事によって
その役の感情が生まれてくるということなのです。
私はその流れをすっ飛ばして、感情だけを作ろうとしていたのでした。
だから演じる役に一貫性がなかったんだ・・・
ドツボにハマっていた私の俳優人生にちょっとだけ光が差し込んだように思いました。
でも、これが始まりだったんです。
演じる役ではなく、私自身の欲求について、私は気づくことができていなかった・・・