これは私の話。
当時の私のパートナー(夫)はフリーランスの講師。家にいることが多かった。
それに対して私は、日中は派遣社員として出勤し、夕方に帰る生活。
仕事と芝居の両立で忙しく、疲れて家に帰ってくると、
洗濯物が干しっぱなし・・・
掃除がされていない・・・
キッチンの流し台は昼間に使った皿がそのまま・・・
こんなことが頻繁にあった。
ええっ? 疲れて帰ってきたのに、こんなことまで私にやらせるの??
あなた今日はずっと家にいたんでしょ!!
どうしてこのくらいやってくれないのよ!!
こんなとき、私の心の声はいつもこんなふうに叫んでいた。
本当は言い出したい気持ちをぐっと抑えて、心の中のイライラをぐっと抑えて、
家の片付けに取りかかる。
片付けながら湧き上がってくる怒りを我慢して。
思いやりのないやつ! 気の利かないやつ!
心の中で、彼のことを責めた。心の中でなら彼にはバレやしない。
でも我慢にも限界が来ることがある。
ブチッと音を立てて、私の中の何かが切れることがある。
切れたらもう外に出すしかない・・・とめどもなく出てしまうのだ。
「何で、こんなことぐらいできないのよ!私、昼間は家にいないんだから!!」
「家にいて寝てるんだったら、少しは手伝ってよ!」(夫君、実際によく寝てた)
「見ればわかるでしょ。この状態がどうなっているのか。どうして気が利かないのよ!」
夫君、黙ってじっとしていた。
じっとしているから、なおさら腹が立った。
(言われても、気づかないのか。動かないのか。)
このやり取りはさらに疲れを生んだ。
嫌な気持ちを抱いたままだから、心も疲れる。
私が本当に言いたかったのは・・・
私は本当は、何を言いたかったんだろう?
何を伝えたかったのだろう?
それは思い通りにならない相手に対して、怒りをぶつけることじゃない。
相手が自分の思い通りになることじゃない。
私は本当に言いたかったこと。
私が本当に感じていたこと。
それは、
気遣ってもらえない悲しさ。
わかってもらえない悲しさ。
大切にされていると思えない悲しさ。
それをそのまま伝えればよかっただけなのに、我慢に我慢を重ねて、
やがてそれは怒り、非難となって爆発し、心ない言葉を思わず発していた。
黙ったまま私の怒りを受けている彼はいったい、何を考えていたのだろう?
何を感じていたのだろう?
「文句」は、「私は正しい。あなたは間違っている。」と非難し、
相手に「変わってほしい」と言っている。
自分の思い通りの解決を押し付けようとしている。
こんな経験を経た今は、
「私は○○と感じてる。」
「○○してくれると、私はうれしい」
家族に対しても、仕事仲間に対しても、
自分の感じていることや、相手にしてほしいこと、「文句」ではなく、
率直に相手に伝える努力をしている。
自分の心にも冷静に話す余裕があるから、相手にもしっかり伝わる。
それは自分の思い通りにならないことであっても、
本当の気持ちを伝えられただけで、以前よりもずっと
ストレスは減った。我慢することも少なくなった。
「正しい・間違い」は争いを生む。
自分の気持ちをしっかり受け止めて、それを率直に伝えることは、
自分自身とのコミュニケーションでもある。
相手にイライラ、怒りを感じているとき
・あなたは、イライラ、怒りの下に何を感じているんだろう?
・その人が「何をすべき」と思っているのだろう?
・あなたはその人に、何をしてほしいのだろう?